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ドラえもん 『世の中 うそだらけ』 |
のび太の執念に 恐怖を感じたジャイアンは、 しぶしぶ100円を払う 決断をします… が、どうも 釈然としません。 まったくです。 そこで、 一計を案じます。 「ただの 50円じゃない」?? 『表の模様が 裏に、 裏のが 表についてる めずらしい 50円だ』 一瞬、 レアコイン キターーーーーーーーーーー!!!! と 感激しそうになりますが、 落ち着いて 考えてみましょう。 硬貨の 表 と 裏って、 どうやって分かりますか? 『年号が書かれているほうが、裏』… その通りです。 では、『表の模様が裏に、 裏のが表についてる50円』とは、 どんな50円玉なのでしょう…? そうです。 そんなもの、 分かりっこない。 強いて言えば、 普通の 50円玉を 引っくり返しただけで 『表裏逆の 50円玉』の できあがりです(笑) いくら のび太でも、 これは怒るだろう。 と 思いきや… 激よろこび。 やっぱり のび太くんは これでいいのかもしれません(笑) |
自分は昔から 藤本作品の 素晴らしさは、 『着地点の うまさ』 にあると 思っています。 今回の話でも、 ジャイアン と のび太が それぞれ相手をダマそうと 知恵をしぼり、 結果的にジャイアンのほうが のび太より 1回多くダマしている にも関わらず… 最終的な両者の取り引きは イーブン。 つまり、 誰も 得していないし、 誰も 損していない。 『ドラえもん』の 読後感の良さ は、 こうした、 プラスには マイナスが、 マイナスには プラスが 作用した結果… 登場人物全員が 『良し悪し両方に関して、 然るべき報いを受けている』、 そんなバランス感覚にこそ、 あるのではないでしょうか? こうした物語を描ける 故・藤本先生の、 人間としての 素晴らしいバランス感覚… 『ドラえもん』が 愛されつづけるのも当然 という気がしてなりません。 ところで 皆さんは、 詐欺(サギ)にあわれた 経験は おありですか? 「世の中そのものが 詐欺同然さ」 ですか? わっはっは、 言いおるわ、このマセガキめ。 「私は 自己管理ができているから ダマされたりしません」ですか? なるほど。 でも、詐欺師に言わせると、 「自分だけは大丈夫」と 思いこんでいる人間こそが、 かっこうの標的 なのだそうです。 1つ1つを その場で検証してくる 臨機応変な人間こそが、 詐欺師が最もイヤがる 『本当の意味で賢い人間』です。 のび太の愚かさを笑いつつも、 『自分の中にも、のび太は いるのだ』 という思いを忘れず、 世に はびこる詐欺師や、 口先だけのエセ善人どもに 負けない人生 を、 油断なく 歩いていってくださいね。 なお、「世の中 うそだらけ」は 『ドラえもん』 第9巻 に 収録されています。 |
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